往生院だよりコラム 7月号より
                心の温泉論

   私が福祉活動に関わってから通所授産施設のあるべき理想について考えて
  参りました。
   その結果、「心の温泉」を目指す必要があると考えるようになりました。
   これは福祉施設全般に当てはまることでもあると思います。
   普通、皆さんが利用される温泉は、疲れた体を癒し、様々な病気を治す効能が
  あり、またリラックス・気分転換などの効果もあり、心の健康にも役立っています。
   この普通の温泉を具体的なものと考えると、心の温泉は抽象的な効果となります
  が、具体化に向けて努めていく必要があります。

  簡単に説明すると、

    疲れた心、世間の寒空で冷えた心、しんどくなってしまった心
                   ↓
             
「心の温泉」により、温める  
                   ↓
      温まった心で物事を考え、自分自身を見つめる
                   ↓
     頑張る意欲を充電し、次の自分のステップへと向かう
                   ↓
     また、心の温まりが冷めたり、ほしくなった時には利用する


   というものになりますが、心の温泉の温度調整を行うのが、福祉施設の
  運営側になります。もちろん、このことが一番に難しいのですが、熱すぎず、
  冷たすぎずで、普通の温泉と同じく、心の適温が必要になります。
   熱すぎれば、時には冷水も用意し、冷たすぎれば、マキを充分に焚かない
  といけません。また、やはり同じようにあまり浸かりすぎるとふやけてしまい
  ますし、逆に疲れてしまうこともあります。
   そして、個別具体的な心の健康状態を図り、その温度調整も求められます。
  心の温泉・・そこは、まさに心のオアシスであり、心の充電の場・・
  ・・温もりがあり、第二の心のふるさと・・
   そして、それぞれの生活、人生の憩いの場となるのが、理想であると考えます。
   また、そこで長時間立ち止まってもいけません。心を一廻りも二廻りも大きく
  成長させ、そして、強くし、普通の生活へと戻るように促していきます。
   実践は誠に難しいですが、確かな自立支援・社会復帰を果たしていくためにも、
  心の温泉たる福祉施設を目指していければと思います。
                                     
  副住職 川口 英俊 九拝


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