往生院だより 7月号コラムより
            「フィリシア」

  最近、社会福祉法人化を目指す精神障害者更生施設「東福祉
 作業所」(六万寺町)・仮称「フィリシア」さんの発起人理事になり
 ました。「フィリシア」とは、アイルランド語で「幸福」という意味だそ
 うです。

  実は失礼ながらもこの歳まで地元にいながら施設があることを
 知りませんでした。国の財源が少なくなっている一方で、もっとも
 国の援助を必要とする社会福祉に対する補助金がどんどんと削ら
 れ、ついには、この施設も法人化しないと存続が危ぶまれる事態
 まできてしまっています。社会的弱者救済が政治・行政の使命で
 あるにもかかわらず、赤字財政のしわ寄せは確実に弱者に訪れて
 います。これからは地域社会とのかかわりを通して、多くの人たち
 からの応援がなければ、存続することは難しいと言わざるをえない
 でしょう。私もできうることからお手伝いしたいと考えています。

  これまで社会は精神障害者や知的障害者に対して、隔離して遠
 ざけるものという意識が強かったように思えます。しかし、最近の社
 会運動の活発化から次第にその間違った認識も随分と改まってき
 ました。ハンセン病患者たちが受けた隔離政策も長い裁判の結果、
 間違いであったことが明らかとなりました。人間として生きていくた
 めの尊厳、基本的人権の尊重は、我々にとって本当に重要なもの
 です。そして、正当な権利を主張し、間違いを正していく、その勇気
 は誰にでも求められているものだと思います。

 川口 英俊 合掌



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