往生院だよりコラム 3月彼岸号より
奉仕論

  2003年・・精神障害者社会復帰施設無認可作業所・東大阪市東福祉
 作業所・東家族会の法人化事業・・設立代表者となった私は、法人化の
 重責を背負い、また法人化資金の窮乏のあまり、当時、正直ダメかもし
 れないと思ったことが何度かありました・・雨の中、風の中街頭での募金・
 施設維持活動の啓発、チャリティーコンサートの開催・・苦しい中で戦って
 いた時に、特に心が震える出来事が二つありました・・

  ある街頭募金活動中、道行く人たちが、なかなか見向きもしてくれず、
 声を出すのが嫌になりかけていた時、お体が不自由で、車いすに乗った
 お年寄りの方から募金を頂いたこと。ある少年が、今まで小さな頃から
 ずっと貯めていた貯金箱をそのまま東家族会さんに寄付頂いたこと。

  余裕がないから何もできない、お金持ちだから義援活動できる、お金持
 ちになったら義援活動しようということではなく、あるなしに拘わらず、少し
 でも今の自分のできる最大限の義援活動を考えて行うことが大切なので
 はないだろうかと思います。

  志しある義援活動に自らにできうることを最大限考えて、できることを行う。
 私利私欲のこと、我が身の保身のことなど、あとからできることは、あとに廻
 し、志ある義援活動がどれだけできたのだろうかと・・自分自身との戦いを続
 けていくことが、実は真の奉仕活動においては重要なのではないだろうかと
 考えます。時に人は、自分の生活のため、現状を維持したいと保身のために
 人間の「良心」に反することもしてしまうこともあります。「良心」を保つために
 は・・
 物事の大きい小さい、額の多い少ないのことではなく、自身の私欲、贅沢した
 い、楽したいという戦いでどれだけ負けず、自らに克てたのかということが大切
 であると思います。

 私自身もどれだけ自分に克てたのか・・そのことを常に意識して様々な物事に
 取り組んでいければと考えております。


  川口 英俊 拝


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