往生院だよりコラム 9月号より |
精神保健福祉 |
私が福祉活動に携わって一年と半年あまりが過ぎました。社会福祉法人フィリシア が運営する小規模通所授産施設における心の病を抱えた方たちの自立支援・社会 復帰の現場において、理事長として様々に悩み、苦しんだ時期がありました。 精神保健福祉の現状は、他の障害者福祉に比べると国家の施策が格段に遅れて おり、また社会における偏見や差別も根強く残っています。 ストレス社会と言われて久しい現代社会、鬱(うつ)病などの心の病には、誰しもが 罹ってしまう身近なものになってしまっています。人間関係が希薄となり、核家族化が 顕著に進み、心のよりどころとなる存在が少なくなってしまっていることも要因の一つ であると考えられます。 遅れがちであった精神保健福祉施策において、東大阪市でも取り組みが始まりまし
た社会的入院患者解消のための退院促進事業は、行政・精神医療・社会福祉法人が 三位一体となって連携し、協力をしなければならないものであり、また何よりも心の病 を抱えた方たちを温かく迎える地域性を創造する必要があります。どんな良い制度や 法律でも、最終的にはそれを扱う人間の意思が強く作用します。地域社会に対しても 寛容さが求められる中、現場を知る私たちが正しい情報の提供と理解への呼びかけ を積極的に展開していかなければなりません。 少子高齢化により日本の福祉施策は今、大きな転換期を迎えようとしています。年 金問題、介護福祉問題と議論されている中で、これからの障害者福祉についてもしっ かりと見据えていく必要があります。 お年寄りの方たちが安心して暮らせる老後、障害を抱えた方たちも不自由なく参加 し、生活できる社会の創造・・ 社会福祉法人運営においても、誠に厳しい課題が山積しておりますが、私も一人の 人間として、心の病に対してどのように向き合っていくべきであるのかが、今後問われ てくることになります。できることを一つ一つと考えております。
川口 英俊 拝
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