往生院だよりコラム 5月号より
                心の病との戦い

  私が、心の病を持った方たちの作業所に関わりまして、早一年が過ぎました。始めの頃は、
 何も分からないままに、とにかく維持のためには社会福祉法人化ありきで、手探りの状態で
 進めて参りました。そして、様々な苦難を乗り越えて、法人化を果たし、補助金の要件を満た
 すことによって、当初の目的である施設維持は達成したことになります。
  しかし、維持ができたからと言って、それで良いのかと問われると、まだまだ課題は山積み
 であります。本当の意味での社会復帰・自立支援を行っていかなければなりません。そのた
 めの体制づくりが急務であります。心の病というものには、今のところまだ確かな原因が解明
 されておらず、治療法も確立されていないのが現状です。もっぱら治療には薬が使われてい
 ます。精神安定剤や睡眠薬といったものですが、その薬を使った治療の上で現れる副作用
 についても今や問題となっています。
  そんな中で、とにかく少しでも心の病が治るような体制を作り、社会復帰を目指していく必要
 があります。
  作業所とは、医療機関から社会復帰のジョイント役として設けられた施設で、正式には、小
 規模通所授産施設と言います。主に生活リズムを取り戻し、自立生活への移行に必要なこと
 を指導し、また、就労を目指しての簡単な軽作業の仕事などを行っています。また、行政や
 生活支援センターなどと連携して、様々な制度を利用することにより、自立支援・社会復帰へ
 の後押しを行います。
  私は、若輩で未熟者ながら二年間、社会福祉法人フィリシアの理事長を務めさせて頂くこと
 となりました。誠に難しい課題に対して、手探りの戦いが始まりました。これからは、社会福祉
 法人としての責任と自覚を持って、地域社会との連携を密にしながら、心の病を持った方たち
 への全力の支援を行い、一人でも多くの方が社会復帰を果たせるように頑張って参る所存で
 あります。何卒、ご指導ご鞭撻の程、賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
                                     
  副住職 川口 英俊 九拝



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