往生院だよりコラム 8月お盆号より |
幻想の繁栄 |
幻想の繁栄・・今の日本の現状を憂いての言葉であります。日本は現在、国債・地方債
などを併せて800兆円近い借金を抱えています。日本の借金時計。(ここに本年度発行の
35兆円国債が年度末には加わります。)国債は税金を担保にした借金に過ぎず、いずれは国民が
返していかなくてはならないものです。税収が40兆円そこそこで、80兆円の予算を組む、その
うち35兆円が国債発行による穴埋めで、20兆円近くが国債返済で消えています。例えば、一
ヶ月の家計に例えると月収が40万円しかないにも拘わらず、生活費と田舎への仕送りで52万
円を使い、不足分と15万円のローン返済も併せて毎月28万円を新たに借金し、既にローン残
高は5300万円以上となり毎月どんどんと借金が膨らんでいる状態が、日本の現実であります。
地方債の分も併せて考えると家計では、8000万円近くローンを抱えていることになります。
財務省ホームページ・財政の現状・参照。
日本は、借金返済のために借金を繰り返すという多重債務者の状態であり、当然に個人で
あれば、自己破産か債務整理をしなければならない事態となっています。
しかし、「いつか起こることは、いつか考えればよい」「今さえ楽しめれば、それでいい」と安楽
に考えて問題を先送りし、気がついたときには、もう引くに引けないところまできて、痛みを身に
染みないと気がつかないということが、日本においてこれまでも多々ありました。「歴史は繰り
返す」であります・・太平洋戦争の泥沼、バブル経済の崩壊、不良債権の処理・・世界的には、
相次ぐ戦争・紛争・テロの悲劇、地球環境破壊、地球温暖化・・
日本では、政治に対して強く物申すこともあまりなくなり、国政選でも投票率が50%台、政治無
関心が増大し、一部の行政官僚たちは利権擁護に必死となり、自分たちだけの贅沢厚遇を税
金で行う始末・・談合、無駄な公共事業への税金垂れ流し、相次ぐ増税など国家レベルでも
詐欺、搾取が行われているのが現実であります。世間でも振り込め詐欺、リフォーム詐欺と、
騙し騙され、奪い奪われの負の連鎖があります。テレビなどマスメディアにおいても、贅沢なも
のをあたかも私たちが欲しているのだと錯覚させられるようなものも横行し、贅沢三昧を煽り、
身の丈を忘れさせ、見栄を張らせ、ローンを組ませ、何とかして無理にでも資本主義体制・消
費社会を維持させようとしている節があります。
800兆円にも膨れ上がった国の借金返済のために、各種税金、社会保障のための年金や
健康保険、医療費などの負担も益々増えていく一方になっています。特に政府の大きな役割
の一つである社会的弱者救済すらも停滞しつつあり、高齢者や障害者にまで負担を強いるよ
うになってきてしまいました。
今の日本における贅沢さ、生活水準は、所詮一瞬の蜃気楼に過ぎず、身の丈をわきまえな
い幻想の繁栄の中で暮らしていることを私たちは自覚すべきであり、いずれ政府は現状維持・
保身・借金返済のために1400兆円と言われている日本の個人金融資産から税金でむしり取り、
負担を強いていくか、または、インフレとなりボロボロの経済とするか・・どちらにしても待ってい
るのは、生きていくことが本当にしんどくて、生活が苦しくなる社会の到来であります。
今のうちから、少しずつでも考え方、生き方をより謙虚なものとし、往生院だより7月号で述
べさせて頂いたように、贅沢を慎み、足るべきところを知り、ボランティア・奉仕活動をしながら、
日々感謝と報恩を忘れずに過ごしていくことが誠に大切であると考えております。
川口 英俊 拝
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