四分の三の人が「宗教を信じていない」 - 今年の8月に読売新聞社が実施した
「宗教」に関する世論調査が発表されました。※ 読売新聞社記事
最初にざっと目を通した感想としては、宗教儀式の慣習形骸化が著しく反映された
結果となり、また、宗教離れに歯止めがかからない現状があると感じました。宗教団
体の悪いイメージについては、7年前の調査の時よりも明らかに各項目とも増えてい
ます。トップ3を見てみると、「どういう活動をしているのかわからない」49%、「人の不安
を煽るなど強引な布教をする」46%、「高額のお布施や寄付を集めている」45%とありま
す。教義・儀式の形骸化・説明不足、詐欺まがい的行為が目立ってきているのが原因
であると思われます。今の日本の仏教においても、葬式仏教・職業坊主と批判のある
背景としては、後継者不足、競争原理もあまり働かず世襲的な閉塞性がもたらした弊
害であるとも考えられます。つまりは、「仕方がないから・・」「やる気もないけどやらざる
を得ない・・」という中では、高い志しも持たず、真剣・真面目にやらなくなり、適当惰性
になってしまっていることが言えるかもしれません。私自身もややもすれば、この立場
に陥ってしまう可能性があります。
宗教には、ある意味で超人的で崇高な理想・理念を持った教義があり、それを遵守
できなければ、しかるべくして堕落していくものであります。そんな宗教の持つ崇高な
教義を普通の欲を持った浅ましい限りの人間が実践し、教えを説いたり、人を導いて
いくことは、誠に難しいものでもあります。また、人が宗教を判断する時、その教義・
説法・理想・理念は誠にすばらしいが、それを説いている宗教家の人格・見識・生活・
実践はどのようなものであるのかで、結局その教えが正しいものか、信頼できるもの
かを判断していくことにもなるでしょう。「尊敬できる宗教家が少ない」23%もそういった
ことの結果ではないだろうかと考えます。
更に宗教自身の長い歴史の中で、金儲け・政治・戦争の道具に使われてきた事実が
あることも少なからず宗教離れに影響しているのではないかと思われます。これは、
「宗教とは無関係なビジネスに熱心だ」25%、「政治とのつながりが強い」28%、「宗派間
などでの対立が多い」12%などに表されていると考えます。
こういった中で、私が最後に着目するところは、「人道や福祉などでの社会貢献度が
足りない」の項目が、14%と意外に少ないことです。少ないということは、ある程度評価
されていると考えられます。もっとも宗教に求められているものは、社会貢献・奉仕・ボ
ランティア活動であるのだと思います。
私自身、社会貢献を目指し、福祉・市民活動を始めてから三年になりました。これか
らもボランティア・奉仕活動をしっかりと続けていかなければ、僧侶・宗教家としての資
格はないのだと改めて肝に銘じておかなければならないと自覚致しております。
川口 英俊 拝
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