往生院だよりコラム 平成18年7月号より
「亡国日本の憂鬱」

  昨年8月号「幻想の繁栄」から前号「無常・・2」に至るまで関連考察が続いて参りました。
 亡国日本の憂鬱・・誠に幻想の繁栄、砂上の楼閣の象徴たる事件の多発横行・・日本
 全体が、詐欺・偽装・粉飾・談合でしか保たなくなった享楽社会となり久しく、もはや奪い
 奪われ、騙し騙されの中でしか、今の豊かさ・便利さ・贅沢三昧が維持できなくなっている
 のであります。今後、更にその度合いはひどくなる一方でしょう。国・地方と併せて財政赤字
 の累積は一千兆円を超え、更に膨らみ続けています。国自体の会計も粉飾会計で保たせ
 ているような状況・・歳出モラルハザードが非常に著しい・・税金の凄まじい無駄遣い、一部
 官僚たちの贅沢厚遇、国民には増税・高負担による搾取の苦しみ・・この国は、もはや行き
 着くところまで行かざるを得ないのでしょうか・・
  やがて国家権力は、国家の全ての人的・物的資源を政府が統制運用することを目指し、
 一千四百兆円という個人金融資産と一千兆円を超える借金との帳消しに及んでくることと
 なります。現在進められている改革は名ばかりで、保身・利権争いに終始しており、まともに
 進むことなく、当然に頓挫し、真の改革には程遠く、ズルズルと亡国へと向かっていかざるを
 得ないのは、もはや誰が見ても明らかなことであります。
  結局、日本は、甘い見通しの中、生ぬるい改革しか進まず、自らの手で自らの血を流して
 膿を出すこともできないまま、またも真の改革は外圧に頼らざるを得ないことになってしまう・・
 もしくは、再びあの敗戦焦土に近い苦しみを味わうことになってしまいかねない・・
  もちろん、世の中の流れというものは、天気と一緒で、晴れようが、雨が降ろうが、嵐となろ
 うが、粛々と受け入れて逆らわずに過ごしていかなければなりません。虚しいことですが、無常
 の中、それも所詮やむを得ないことでもあります。
  人類誕生以来、どんなに文明が発達し、テクノロジー社会になったとしても、実は何も人間の
 本質は変わっていません。人間の強欲さゆえに引き起こされていく諸問題の数々・・虚構・見栄・
 欲目が激しい社会の中では、同じように虚構・見栄・欲目を出してしまえば、結局は欲による
 浮き沈みの苦しみの中をさまよい歩き続けることになります。欲による様々な苦しみから逃れる
 ためにも、やはり「足るを知り、欲を少なくすること」が非常に重要であります。少欲知足、報恩
 功徳、謙虚さ・配慮・寛容性を養い、あらゆる存在に対して慈しみの心を持って過ごしていく・・
 そのことが、人間という存在には本当に大切であると考えております。
 
 川口 英俊 拝

 平成18年6月6日

 コラムバックナンバー


トップへ戻る

Copyright (C) 2001-2005  岩瀧山往生院六萬寺 All rights Reserved.